父のこと 5

renkin
父は色々と、何でもよく知っている人だった。
私は分からない事があるとまず父に聞き
そして大抵のことはそこで解決した。
勉強が全く出来なかった私と違い、
勉強で苦労したことはない、と言っていた。


私が思い出す父の姿は
本や新聞を読んでいる父、何か熱心にメモをとっている父だ。
新聞の空いたスペースやダイレクトメールなどの不要な紙には
いつも父の整った字でメモが書かれていた。
メモの内容はニュースで気になった単語や難しい漢字。
何回も、いくつも書いてあった。
そうやって記憶に定着させていたらしい。


私は中学生の頃、成績がびっくり悪かったので
父が勉強を教えてくれたことがあるんだけど
それはあまり良い思い出ではない。
覚える事、に苦労した事がない父は
全然覚えられない私が理解出来なくて苛立つばかりだった。
父の勉強方法は「理解は後でとにかく覚える」だったので
まず理解しないと話が始まらない私とは
のっけからスタンスが違ったのだ。


でもその事を説明しても
だからお前は成績が悪いんだ、の一点張りで
それはまあ、確かにそうだった。